安倍自公政権の正体・実態 アベノミクスの正体・実態

株や不動産など資産価格をつり上げるバブルは、根拠なき熱狂と言われるように難しい理屈もロジックもいらない。

バブルを作るには、各国の中央銀行による大胆な金融緩和と、株価上昇をもたらすような雰囲気を醸し出す単純なメッセージだけである。

それゆえバブル循環の中で、劇場型政治が不可欠になる。

劇場型政治は論理的な説明や因果関係を極端に飛ばすことに特徴がある。

そのために、市場主義と強い国家・ナショナリズムという新保守主義の言説に基づく扇情的なポピュラリズムが横行する。
 
株価上昇に必要なのは、多くの人々の経済成長で生活が楽になると信じさせる劇場のセッティングとワンフレーズの決め台詞である。

それは、視聴者や読者の獲得を目指すメディアに最も好まれる状況設定である。

因果連関の詳しい説明は不要であり、単純化して伝えたいと欲するメディアにとって垂れ流すのに都合がよい。

この劇場型政治は、これまでの政策的失敗をすべて忘れさせてくれる一方で、難しい批判的言説を展開する知識人の影響力を決定的に落とし、反知性主義をはびこらせる。
 
アベノミクスの三本の矢は、失われた20年の間、繰り返し失敗してきた使い古しの政策であり、変わったのはレトリックだけである。

しかし、逆説的だが、アベノミクスにはほとんど中身がないがゆえに意味を持つ。

その単純化されたアベノミクスというスローガンに、株価上昇という結果さえそろえばいいのである。

そもそもバブルに根拠などないからだ。

4月5日の異例の金融緩和というサプライズも、明らかにバブルのきっかけを作り出す演出である。

だが、小泉政権期の金融緩和政策と構造改革が深刻なデフレ、国際競争力低下、格差社会をもたらしたにもかかわらず、異常な金融緩和がもたらす副作用は考慮されない。
 
第1に、すでに量的金融緩和を実施してきたが、日銀の中にある銀行の当座預金勘定に50兆円前後が積み上がっている。

日銀が銀行から国債を買っても、その先に流れていかないからである。

第2に、1100兆円、GDPの2倍以上になる政府の借金(長期債務残高)は第2次大戦中の水準であり、戦時中も日銀が国債引き受けファイナンスした。それを帳消しにしたのは戦後のハイパーインフレである。
 
第3に、量的金融緩和と株高は必ずしも実体経済を改善しない。

株価の上昇による資産所得は基本的に不労所得である。

それは不良債権や本業の悪化を隠し、中長期課題の解決の必要性、あるいは技術開発や製品開発における地道な努力を忘れさせる。

株価さえ上昇すれば、濡れ手に粟で資金が手に入り、自社にないものは買収すればよいとされるからである。

そのために、せっせと内部保留を貯め込むということになる。

内部留保を貯め込めば自社株の価格が上昇して買収されにくくなる一方で、必要な他社を買収することが可能になるからである。

そして多くの経営者がこのような短視眼的な経営に陥れば、企業は内部留保を貯め込み、金が回らなくなり、ずるずると国際競争力を低下させてしまうのである。
 
ところが、外国人投資家が好む市場原理主義的な政策は、企業社会を含めたコミュニティ」や人々の結びつきを解体させる。

その欠落を埋め合わせるように、戦争とナショナリズムそして強い国家が強調されるようになる。

日本の政治が米国に呑み込まれ、劇場型政治が横行する根底には、政官財界の中枢を蝕んでいる無責任体制がある。

実際、バブル崩壊後の不良債権処理問題から東京電力福島第一原発事故に至るまで、この国では経営責任も監督官庁の責任も問われない。

今日も福島第一原発事故を引き起こした東京電力はゾンビ化しているにもかかわらず、小出しに公的資金を入れ、利用者の電気料金負担で生き残らせようとしている。

事実、東京電力は、1兆円の公的資金を受け、電気料金を値上げし、2年間で原子力損害賠償機構から3.2兆円の交付金を受けているにもかかわらず、2013年1月25日段階で支払った賠償額は約1.7長円にすぎず、除染費用も計上していない。

安倍自公政権も、基本的に小泉政権と同じパターンである。

自民党自ら進めてきた原発政策の責任も東京電力や電力会社の経営責任を問うこともなく、発送電を分離する電力改革を先送りし、ずるずると原発を再稼働させようとしているからである。

これでは、世界的に進む再生可能エネルギー、ITC技術と結び付いた省エネの動きに基づく地域分散ネットワーク型システムへの転換から遅れてしまうだろう。

日本はさらに失われた30年になりかねない。

さらに問題なのは、責任逃れに政治は、国民が株価上昇に浮かれ景気が回復したかのような気にさせている間に、中長期的課題の解決をも忘れさせ、ツケの先送りが繰り返されることである。

事実、アベノミクスをスローガンに景気対策や金融緩和政策を打ち出す一方で、先述した戦時中と同じGDPの2倍を超える1100兆円に達する財政赤字、何万年と保管が必要となる使用済み核燃料の置き場さえない原発、若者の約4割が失業者と非正規雇用になっている雇用や貧困問題、少子高齢化社会保障改革問題など、本質的に解決しなければいけない問題をすべて先送りさせている。

安倍政権の登場によって、再び時計の針が逆回りを始めているのだ。

小泉政権も安倍政権も、経済政策の中心に、金融緩和と規制緩和中心の成長戦略をすえている点で共通している。

金融緩和と規制緩和中心の構造改革の政策的な組み合わせは、最も格差を拡大させる。金融緩和による資産価格の上昇は富裕層だけを潤す一方で、構造改革による社会保障の削減や雇用流動化は低所得層と貧困層をますます増加させていくからである。

安倍政権下の産業競争力会議は、さらに正社員の解雇規制の緩和を掲げている。また安倍政権はTPPに邁進している。自民党政権公約で掲げたTPP交渉参加6条件(①「聖域なき関税撤廃」を前提にしない、②工業製品の数値目標は受け入れない、③国民皆保険制度を守る、④食の安全安心の基準を守る、⑤ISD条項は合意しない、⑥政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる)は何一つ約束されていないにもかかわらず、安倍首相のTPP交渉参加表明について、大手メディアは公約違反を追及せず、TPP推進の大合唱を繰り返している。 

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